服薬についての注意事項

服薬の注意点について(皆様からの質問の多い部分を踏まえて)

基本事項として、服薬時間帯(食前、食後等)については該当薬剤がもっとも効率良く消化管から吸収される時間帯を考慮して決定してあります。これは、当院が決めたルールではなく、該当薬剤の開発元である製薬メーカーが開発段階で薬理学的特徴を考慮した上で科学的根拠に基づき決定したものです。皆様が勘違いされている事項として、指示内容と異なる形で服用した場合副作用がでるのではないかと思われていることです。多い事例として、時間が無くて朝食がとれなかったので高血圧の薬服用を中断した事例や、飲酒をしたので夕食後の服薬を中止した事例があげられます

(1)食後服用の薬を空腹時に服用することでの問題点

基本的に副作用の面では食後であろうと空腹時であろうと大部分の薬剤で差異はほとんんどありません。

問題点は空腹時に服用すると薬剤の吸収率が落ちることです。医師が処方の際に、経験的効果値から100の効率を見積もって処方した投薬効果が、指定外時間帯に服用することで実効率が85-90位に下がる可能性がある(*0%になる薬剤もあります)ということです。予想よりもこの薬は、効かないという場合に相当する事象に遭遇することになりうるということです。服薬しないことによる事故発生よりは、多少効率が落ちても定期服用頂くことのほうが意味のあることです.

服薬時間がほぼ同じであれば、食後の薬を空腹時に服用することで副作用の発現頻度が増加することはありません。服用頂いて結構です。

 (2)飲酒後の服薬に関して

飲酒後の服薬は抗不安薬、睡眠薬などの効果を増強させる恐れがあります。前述の薬に関しては服薬中止が必要です。その他の薬の服薬に関しては問題となる可能性は低いですが、アルコールによる血管拡張作用で飲酒後は血圧が低下し、就寝後から早朝にかけて上昇するパターン(夜間高血圧の原因は飲酒が多い)をとりますので降圧剤は注意が必要です。

定期投薬を受けている患者様(特に降圧剤を夕方に服用される方)には、アルコール摂取量が過度にならないように自己管理をお願いします。

ちなみに節度のある飲酒量とは、1日アルコール換算で20gまで(ビールで中瓶1本(500ml)、日本酒で1合(180ml)、焼酎で1/2合(90ml))となりますが、この範囲であるかぎり服薬に問題はありませんので深酒を止めて自己管理頂けます様お願いもうしあげます。

(3)降圧剤服用の注意事項

降圧剤服用中の患者様には基本的に自宅血圧を測定頂き、心血管事故の予防(投薬効果の増大による低血圧やショックの予防、効果不十分な時間帯の発見)に役立てて頂いております。血圧手帳で普段より20mmHg以上の血圧低下を認めた場合、なんらかのアクシデントが現在進行しつつある状況と考えられます。目安として、普段の血圧が120/80前後の方が、90/60以下にになるようであればショック状態と考えられます。このような際は服薬を中止頂き、即医療機関を受診頂けます様お願い致します。

普段の血圧の3/4になれば危険水域=服薬中止、医療機関受診

(4)服薬に伴うアレルギー反応について

薬剤に対するアレルギー反応はすべて特異体質にもとづくと考えられ、事前に予測することが不可能な場合がほとんどです。特に1万人に1-2人の割合で潜在所有しているといわれるアナフィラキシー反応(ショック症状:血圧低下、呼吸困難、心停止など)は生じると生命に係わる重篤な副作用です。また、重篤な皮膚症状としてTEN(中毒性表皮壊死症)を生じる方もおられます。服用開始後にふらつき感や全身倦怠感、生あくび、呼吸困難を自覚した場合は厳重注意です。

服薬後に生あくび、ふらつき感、呼吸困難 = アナフィラキシーの予兆 = 救急車を呼ぶ

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