DCECT

ダイナミックCT (Dynamic Contrast Enhancement CT: DCECT)

概要: MDCTの登場により、より短い時間で多断面の連続画像を撮影できるようになったことでいろいろな角度での断面像や再構築による3D画像を得ることができるようになりました。よりバーチャルな形で動脈瘤や腫瘍などの存在診断、質的診断ができるようになってきています。
DCECTは、造影剤を急速静注しながら撮影するHRCT検査です。

造影剤を用いることで血管腔とその他の組織との間にコントラストをつけることができます。造影剤は、時間経過(秒単位)とともに血管腔から細胞外液、静脈へと移行していきます。撮影のタイミング(時相)により、動脈優位相、静脈優位相、遅延相などに分類されそれぞれのタイミングで得られたれた画像を差分したりすることで診断や治療に役に立つ再構築像(サブトラクション画像など)を構成していきます

目的; 出血源、梗塞巣の特定、動脈瘤や動脈乖離などの血管病変の評価、腫瘍の質的診断など

準備: 他の造影検査同様に絶食が必要です。

造影剤: ヨード系造影剤を用いますので、ヨードアレルギーの方は原則受けることができません。また、腎機能が悪い方はヨードの排出遷延やさらに腎機能悪化の問題がありますので注意が必要です。甲状腺機能異常がある方は一過性にヨードが甲状腺に取り込まれますので注意が必要です。一般的にヨード系造影剤の使用症例の3%に何らかの副作用がみとめられますが、ほとんどは投与時の一過性の吐気やじんましんの出現です。

方法:通常撮影にはX線管電圧120KV、X線管電流はターゲットとなる臓器により様々(腹部では250〜300mA程度)を使用します。造影剤は、施設により多少アレンジがありますが、通常100mlの生理食塩水で確保された前腕の静脈から投与します。造影剤静注のスピードはターゲットとなる臓器により異なりますが1〜3ml/sec前後のスピードで注入します。その間に必要な時相で撮影を行います。必要な造影剤の量は腹部造影CTを例に挙げると体重あたり2ml/kgが基本となります。

投与された造影剤は、最終的には腎から排泄されます

以下に症例画像を提示します。
①Stage I期の早期腎細胞癌です。
左腎上極に1cm大の腎細胞癌を認めます。

         造影前       皮質髄質相       排泄相

造影CT

②Stage IIIAの進行肝細胞癌です。
S7区域に3cm大の肝細胞癌を認めます。

造影CT

❶ 造影前/❷動脈後期相/❸門脈早期相/❹門脈実質相/❺平衡相

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