DCEMRI/EOB-MRI

Dynamic CEMRI(ダイナミックMRI) / EOB-MRI

概要:MRI検査用の造影剤を使用して細かく造影の時相を分けて撮影するMRI画像診断検査です。

目的:造影剤投与により血管にコントラストを加える事で、主に良・悪性腫瘍の鑑別、その他の画像では検出困難な腫瘤の描出、心筋症などの質的診断を行う際に選択する検査です。

主な標的臓器:肝臓、膵臓、胆嚢、腎臓、心臓、大血管、脳

必要な前処置:絶食(腹部を撮影の際は検査前6時間)

問題点:CTに使用されるヨード系造影剤の様なアレルギー(アナフィラキシー)の心配はありませんが、腎機能障害(血清クレアチニン値が高い場合)症例では、腎性全身線維症( Nephrogenic Systemic Fibrosis: NSF)を生じますので腎機能の惡い症例では使用出来ません。

詳説:

<1> 造影剤について

MRIに使用する造影剤はガドリニウム系( Gadolinium: 以下Gd )の造影剤で、CTに使用するヨード系造影剤とは全く異なる化学式ですのでヨードアレルギーの方でも問題なく検査は出来ます。主に全身のいずれの部位でも使用できる細胞外液性Gd肝細胞特異的ガドリニウム造影剤( Gd-EOB-DTPA)を使い分けて撮影を行います。

①細胞外液性Gd造影剤

 通常100mlの生理食塩水で血管確保された前腕の静脈から投与します。投与された造影剤は細胞外液(細胞の外=主に血管腔内)に分布し、最終的には腎から排泄されます。様々なタイミングで撮影を行う事ができます。使用される造影剤は、Gd-DTPA( マグネビスト(R))、Gd-DTPA-BMA( オムニスキャン(R))などがあり、0.2mL/kg使用します。

②肝細胞特異性Gd造影剤

 上述同様に、通常100mlの生理食塩水で血管確保された前腕静脈から投与します。投与後しばらくは細胞外液腔に存在しますが、数分後から約半分のボリュームが肝細胞内に特異的に集積し胆汁中に排泄されます。この胆汁排泄相(HBP)で得られる画像は、肝悪性腫瘍の検出に非常に鋭敏で特に肝細胞癌の検出感度は最高クラスとなります。使用される造影剤は、Gd-EOB-DTPA(EOB・プリモビスト(R))で0.1mL/kg(体重)使用します。

<2>撮影方法について

 生食100mlで前腕の静脈に血管確保の上、造影剤を投与し種々の条件で撮影を開始します。造影剤投与によりT1緩和時間が大きく短縮されますので基本的に脂肪抑制T1強調画像をベースに撮影が行われます。

③実際の症例を提示します。
1) Stage I 腎細胞癌のdynamic MRI画像です。
左腎臓上極に1cm大の遷延性濃染する腫瘍を認めます。

造影前               皮質髄質相

造影MRI

 実質相                               排泄相

2) Stage IIIA 肝細胞癌のEOB/MRI画像です。
S6区域に2.5cm大の早期に濃染し、後期でwash outを受け、胆汁排泄相で欠損像となる腫瘤を認めます。

造影MRI

❶造影前/❷動脈優位相/❸門脈相/❹肝細胞相(胆汁排泄相)

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