超音波検査(エコー検査)

エコー検査 (UltraSound Sonograghy: USG)

超音波とは、人の聞き取れる音域(〜20,000Hz)以上の高い周波数の音です。周波数(ヘルツ; Hz)が高いため本来音が持つ空気を主な媒体とする性質は非常に弱く、主に液体を媒体に伝播します(特に水は透過率の高い媒体です)。人体は水分を多く含みますので超音波の特性を利用して様々な臓器の検査が可能です。超音波の生体内での音速V=1,500m/s前後と言われています。超音波診断装置では、JIS規格でV=1530m/sと想定することで反射体までの距離がVT(Tは時間(秒(s))で画像表示されるように設定されています。

超音波の性質として反射(reflection)と減衰(attenuation)があります。反射は、音波が透過率の均質な媒質から異なる媒質に侵入する際に境界面で生じます。境界面が平坦であればそのまま鉛直方向に反射が起こりますが、粗面であれば散乱します。音響インピーダンス(Z: 単位は1000,000kg/(m・m・s))=P(媒質の密度)x C(媒質固有の音速)は超音波の通りにくさを表し、人体の各組織間でのZ値の差が大きいほど反射は強くなります。空気はZ=0.0004と非常に低く、水;Z=1.48、肝臓、筋肉;Z=1.70前後、骨;Z=3.70〜6.84と高値になります。したがって空気や骨と重なる臓器は超音波診断の盲点となります。また超音波は生体内に入ると透過率の異なる媒質を通過する度に散乱し、媒体内で吸収、拡散されることで減衰していきます。減衰の度合いは超音波の周波数が高いほど大きくなります。気体での減衰は非常に大きくなります。

腹部超音波検査の際に絶食をお願いする理由は上記理由によるもので食事に伴い腸管に入ってくる空気や複数の媒体が目標臓器の描出を困難にするからです。面倒なことではありますが膵臓などの深部臓器を観察する際には重要な前処置となります。

心臓超音波検査(心エコー図検査)

心エコー図検査では、主に2.5~3.5MHzの超音波プローブを使用して通常、Bモード/ Mモードとカラードプラ/パルスドプラ法で観察を行います。これらを用いることで心腔のサイズや壁厚、心機能評価、弁膜症の有無、狭窄度(弁口面積の計測)などを評価することができます。

❶Mモード/❷Bモード/❸壁運動評価/❹カラードプラ

腹部超音波検査(腹部エコー検査)

腹部エコー検査は、ドックなどの健診でも広く行われている検査で肝、胆、膵、腎、膀、子宮などのほとんどの腹部臓器を体表から観察することができます。通常、5MHzの周波数の超音波プローブを用いて、腫瘍や嚢胞、出血などを描出できます。またカラードプラ法により臓器の血流評価を行うこともできます。

❶肝血管腫/❷肝細胞癌/❸胆嚢ポリープ

頸動脈超音波検査(頸動脈エコー検査)

頸動脈エコー検査では、7.5MHzの周波数の超音波プローブを用いて総頚動脈から内頚動脈/外頸動脈分岐部付近までの動脈硬化や狭窄病変を評価できます。この部位の評価は重要で、心筋を環流する冠動脈病変や脳動脈病変の状態を推定するのに役立ちます。

❶パワードプラ長軸像/❷カラードプラ長軸像/❸パワードプラ短軸像

甲状腺超音波検査(甲状腺エコー検査)

7.5MHzの周波数の超音波プローブで首の前面から甲状腺は非常に明瞭に描出することができます。甲状腺の病変精査には最も適した検査法です。

❶、❷、❸腺腫様甲状腺腫

①、②、③甲状腺乳頭癌

その他下肢静脈エコー検査で肺血栓塞栓症の原因となる静脈血栓の有無を評価したりすることもできます。

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