大原美術館:『風景』スーラ

スーラの作品だったとは。

大原美術館
ジョルジュ=ピエール・スーラ(1859—1891)
『風景』1883

【鑑賞の小ネタ】
・フランスの画家
・点描技法を確立
・新印象派に分類される
・クロクトンを多数制作

スーラといえば、こちらの作品が有名です👇

シカゴ美術館
『グランド・ジャット島の日曜日の午後』1884—1886

美術や芸術の教科書にも広く掲載されていますね。細かい色の点を並べて描く「点描画法」を駆使しています。色彩科学や光学理論に基づいた表現手法で、パレットの上で絵具を混ぜず、キャンパス上に純色の細かい点を並べて網膜上で混色させるというものです。絵具をどんどん混ぜ合わせ灰色になってしまった経験はないでしょうか?灰色が目的の色なら問題ないと思いますが、そうでない場合、これはちょっと困ったことです。画面が暗くなってしまうからです。明るい自然光の空気感を表現をしようとして、印象派の筆触分割(絵具を混ぜずに筆触が隣り合うように配置)が登場しましたが、その原理をもっと科学的そして理論的に追求したのが点描画といえます。

『風景』は木炭で描かれた作品です。スーラの点描画法で描かれた作品ではありませんが、どうやら『グランド・ジャット島の日曜日の午後』と関連があるかもしれないという記述を見つけました!

スーラは一枚の完成作を仕上げるまでに、素描(クロッキー)や油彩下絵(クロクトン:スーラが代表作を仕上げる前に描いた小さな木板の油彩下絵のこと)を多数制作しました。全体的な構図を入念に検討したようです。当然、『グランド・ジャット島の日曜日の午後』制作のために素描や油彩下絵を描いていて、もしかしたらこの部分かも?というのです👇

画面左上の赤色の線で囲った部分です。いかがでしょう?筆者は似てると思います👍なんだかすごい。

『風景』1883は、児島虎次郎(洋画家であり大原孫三郎の友人。大原美術館の礎となるコレクションを集めた人物)が個人的に入手したものなんだそうです。スーラは1891年、31歳という若さで病死しています。一説には、過酷な点描画法で疲労し免疫力が下がったためではないかとも言われています。児島虎次郎も、1929年47歳という若さで死去していて、早逝ではあったものの過酷な点描に向き合い生き抜いたスーラに何か感じるものがあったのかもしれませんね。

大原美術館所蔵ではありませんが、『グランド・ジャット島の日曜日の午後』の素描をいくつか👇

メトロポリタン美術館
『釣りをする女性』1884
『グランド・ジャット島の日曜日の午後の習作』1884

どの部分か分かるでしょうか?
大作を仕上げる前のスーラの下準備はほんとに凄かったのだと思います。