Case 12; NTMI: 非結核性抗酸菌(NTM)の大部分を占める肺MAC症は、CT検査で空洞(cavity)/小結節(nodule)/気管支拡張(bronchiectasis)を特徴とすることが多い。CT所見に加えて血中抗MAC抗体陽性の場合は確定診断に至る。肺MAC症に関して検査、診断、治療法に関してのUPDATEと肺MAC症の典型的画像所見のケースレポート

Non Tuberculous Mycobacterial Infection (NTMI): 非結核性抗酸菌感染症

①非結核性抗酸菌(NTM)とは、

非結核性抗酸菌(NTM)は、抗酸菌から結核菌及びらい菌、ヨーネ菌のような特殊栄養要求菌を除いたミコバクテリウム属菌の総称で120種類以上が同定されていますが、このうち日本人の感染症(NTMI)として報告されているものは31種類あります。10万人あたり6人の発症率で年間6500人以上の報告があり、最近増加傾向にある感染症として注目されています。この背景にはPCR/DNAハイブリダイゼーション手法による菌株同定検査の確立と胸部CT検査による病変検出率の向上があると考えられています。

現在、NTMは人に日和見感染症を起こすのみと考えられており、人から人感染、動物から人感染、人から動物感染のいずれも確認されていませんが、土壌、河川水、海水等の自然界に常在する菌です。Mycobacterium(M) aviumと、M. intracellulareを合わせてMAC(Mycobacterium Avium Complex)と総称しますが、この2菌は類似した菌で鑑別が困難であるため複合体として取り扱われます。MACは動物に結核様の感染症を引き起こします。人と動物の双方に病原性を有するNTMとして、Runyonの分類でIII群(非発光菌群)のMAC、I群(好発光色群)のM.kansassi、M marinum、II群(暗着色菌)のM. scrofulaceum等があります。

②MACとは、

NTM呼吸器感染症として認められる原因菌の大部分を占めるのは、MAC です。MACで全体の80%を占め、残りの10〜20%がM.kansasii感染によると言われています(その他の菌株によるものは非常にまれです)。抗MAC抗体(血液検査)はMAC感染の補助診断として利用できます。

肺NTMIは、次第に肺野全体に病変が進行していく病気ですので基本的には診断された時点が治療開始の時期と考えられます。しかしながら、日本の肺NTMIの大部分を占める肺MAC症は画像所見により病期の進行が異なるためいつ治療開始するかについてはガイドラインとして明示されてはいません。ただし、空洞を伴う場合は結核と同様に活動性が高いと考えら早期に治療を開始すべき病変です。

③肺MAC症のCT画像

肺MAC症のCT画像は、
①空洞形成型(fibrocaviatry disease)
②小結節/気管支拡張型(nodular bronchiectatic disease) 
③過敏性肺臓炎型(hot tub lung)(hypersensitivity like disease)
④全身播種型(disseminated disease)

に分類されますが、基礎疾患のない非喫煙者の中、高年女性に多く見られる小結節、気管支拡張型が50%近くを占めています。空洞形成を伴わない辺縁不明瞭もしくは分枝状パターンの小葉中心性小結節と結節状気管支拡張がもっとも共通して認められる所見で、右中葉または左舌区が好発部位と言われています(両側同時に見られることも多い)。結節性陰影は胸膜直下の肺野末梢に認められる傾向があるようです。

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