Case 01; CFr: 咳嗽性肋骨ストレス骨折は、激しい持続性の咳嗽が暫く続いたのちにしばしば生じうる。気管支喘息や肺結核、百日咳などに合併することが多い。微細骨折(microfracture)の場合が多く、画像による確定診断を行う場合には骨シンチグラフィーにより肋骨への99mTc-MDPの集積を描出する必要がある。多発性咳嗽性肋骨ストレス骨折の1ケースレポート。

Cough Fracture: 咳嗽による肋骨ストレス骨折

①ストレス骨折とは

Cough fractureは、ストレス骨折として比較的よく認められる肋骨骨折です。激しい持続性の咳嗽によりしばしば生じ、気管支喘息や肺結核、百日咳などに合併することがあります。レントゲン写真で明らかな完全骨折を示すことは多くないと思いますが多発性微細骨折(microfracture)の形で発症することが多いのでは無いかと考えます。胸痛は咳が治まらない限り軽減されませんので、鎮咳剤による対症療法と原因疾患の治療が必要です。レントゲンで確認できない微細骨折の場合、骨シンチグラフィーにより肋骨への99mTc-MDPの集積を確認することで骨折部位を描出することができますが対費用効果や余分な被曝を考えるとお勧めはしません。しかしながら、ストレス骨折の確定診断をつけたい、もしくは口頭での説明ではどうしても納得頂けない方もおられますので下記の症例を提示します(骨シンチで集積が証明できても何ら治療方針には影響しません)。

②症例

Case : 
[主訴:CC]:難治性持続性咳嗽、高度の胸痛
[病歴:PI]:気管支炎?として治療受けていたがなかなか咳嗽が軽快せず、症状出現より2ヶ月経過した時点で胸痛高度となる。
[身体所見: PE]: 咳嗽は発症当初よりは軽減されていたが左右肋骨の複数箇所に圧痛と吸気時疼痛を認めた。

確定診断:①百日咳、②咳嗽性肋骨多発骨折(微細骨折)

画像提示:

胸部レントゲン写真と骨シンチ画像

胸部レントゲン:明らかな異常所見は指摘できない。
99mTc-MDP: 左右肋骨  8-10番に多発性のhot spotを認める。ただしこの様な症例では多発性骨転移を否定する必要はあります。

参考文献:
1.Roberge RJ, Morgentstern MJ et al. Cough fracture of the ribs. Am J Acute Med. 1984; vol2(6): p513-517
2.HanakV, Hartman TE et al. Cough-induced rib fractures. Mayo Clin Proc. 2005; Jul80(7): p879-882

個々の症例のデータ、画像の引用または転載を一切許可しない。

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