CPAP(Continuous Positive Airway Pressure)の調整

CPAP(シーパップ)とは、機器を用いて持続陽圧呼吸を行うことで睡眠時の気道閉塞を改善する閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の主軸となる治療法です。
CPAP治療の健康保険適応は、
①簡易ポリグラフ(PG)検査において、pAHI(無呼吸低呼吸指数)が40回/h以上の重度の閉塞性睡眠時無呼吸
②PG検査で15≦pAHI≦39で、睡眠ポリソノグラフィー(PSG)検査で精査を行った結果、20≦AHIの中等〜重度の閉塞性睡眠時無呼吸
です。

重度のOSASと診断がつくと、通常オートシーパップ装置を用いて治療を開始します。オートシーパップ装置にはプロアクティブアナライシス(proactive analysisという睡眠中の呼吸状態を予測し、気道閉塞が起こる前に圧力を調整する機能が組み込まれています。これにより無呼吸イベント発生から圧力調整までのタイムラグが最小限に抑えられ、よりスムーズな呼吸をサポートします。

当院で導入に用いております”ドリームステーション”にはプロアクティブアナライシスが装備されており、その主な機能は以下のようになります。プロアクティブアナライシスとは、や睡眠状態の変化によって刻々と変わる上気道の抵抗状態を評価し、イベント(無呼吸や低呼吸など)が発生しない段階から圧力を調整する機能です。

①レスポンシブアナライシス
無呼吸・低呼吸イベントが発生した際に速やかに圧力を変動させ、正常な呼吸状態へと導く機能
②Flex機能
呼気時の圧リリースと吸気時の圧サポートにより、CPAP治療の不快感を軽減します。Flexレベルは3段階で調整できます。
③Smart Ramp機能
ランプ(導入)時間中もイベントに対して圧調整を行うことで、入眠時の不快感を和らげます。
④Ez-Start機能
使用状況に応じて徐々に圧力を増加させ、CPAP治療を始めたばかりの患者さんが治療に慣れるのをサポートします。
⑤Opti-Start機能
治療開始時の最適な圧力を自動で調整する機能です。

*ランプ機能とはCPAP使用開始時に低圧からスタートし設定した時間をかけて設定した最大圧までゆっくりと吹き込む圧力を上昇させていく機能で、入眠時の不快感を軽減する効果があります。ランプ時間は運転開始後の圧力保持時間を示し、15〜45分程度に設定することが一般的でこの間に開始圧力(大部分が4cmH2O)→最大圧(大部分が8〜10cmH2O)まで徐々に流圧が上昇します。Auto設定では、呼吸状態などから眠りに入ったタイミングを検知し、その後徐々に治療圧力まで自動的に圧が上がります。

(1)CPAPの管理目標:CPAPの施行状況はモデム(またはカード)よりモニターされオンラインで結果は確認できます。CPAPの管理目標値を提示します。

パラメータ定義目標値
AHI(無呼吸/低呼吸指数)1時間あたりの無呼吸/低呼吸の回数10回/h以下 
可能なら5回/h以下が理想
使用時間1日に何時間CPAPを使用したか4時間以上/1夜が推奨
使用日数CPAPを1か月で何日利用したか月70%以上の使用が推奨
リーク(leak)マスクや接続ホースからの空気漏れの量少ないほど良い
CPAP治療導入後の管理目標:AHI 5回/h以下となるのが理想的です。CPAPの一晩での使用時間は4時間以上の使用、月70%以上の使用率で心血管事故の予防効果が認められています。睡眠時間は十分に確保するようにしましょう。

(2)最小圧と最大圧について:

最小圧の役割:気道が閉塞を解除するには最低4cmH2Oは必要です。

最小圧は、睡眠中の気道閉塞を予防するために設定される、最も低い圧力です。一般的には4cmH2O前後から設定されることが多いです。

  • 低すぎる場合:気道が閉塞しやすくなり、いびきや無呼吸が改善されず、日中の眠気や倦怠感が解消されません。
  • 高すぎる場合:圧迫感や不快感の原因となることがあります。

最大圧の役割:20cmH2Oくらいまでの範囲で設定

最大圧は、気道を十分に開存させるために必要な、最も高い圧力です。医師によって設定された圧力範囲(例えば4~20cmH20)の中で、装置が自動的に圧力を上げ下げします。

  • 高く設定されるケース:肥満の方、舌が大きい方、口蓋垂が大きい方など、気道抵抗が高い場合は、8cmH20以上、10cmH20、12cmH2Oといった高い最大圧が設定されることがあります。
  • 高すぎる場合のリスク:不快感、マスクからの空気漏れ、口の乾燥、鼓膜の圧迫感、空気を飲み込むことによるお腹の張りやげっぷなどの原因となることがあります。心血管系に負担がかかる可能性も指摘されています

(3)マスクについて:マスクには、①鼻マスク(ネーザルタイプ)、②鼻ピローマスク(ピロータイプ)、③フルフェイスマスク(フルフェイスタイプ)の3種類があります。それぞれの特徴を示します。

マスクの種類特徴汎用されているもの
ネーザルタイプ鼻だけを覆うので圧迫感は少ない。→大部分の方に適合(特に睡眠中に口呼吸が少ない人はいい)●ピコ(PICO)ネーザルマスク
●ドリームウエアウィスブネーザルマスク
ピロータイプ鼻孔に直接装着するのでマスクの跡が残りにくい→①視界を遮らずマスクの跡形が気になりにくい、②寝返りでチューブが絡まりにくい●ドリームウエアシリコンピローマスク
フルフェイスタイプ鼻と口の両方を覆う→①睡眠中に口呼吸の癖がある人、②重度の鼻詰まりがある人、③高いCPAPの圧力設定が必要な人によい●ドリームウエアフルフェイスマスク
●アマラフェイスマスク
CPAPに使用するマスク:ネーザルタイプのピコが最も一般的に汎用されているマスクでAHIの抑制効果も高い実績のあるマスクとなります。基本初回設定はピコを処方いたしますが、各自の条件によりマスクを変更することがあります。

(4)CPAP使用開始時によくある問題点とその対策

①口を開けて寝てしまうので口から空気がダダ漏れになる
●鼻炎が激しく鼻詰まりが激しい場合は、抗アレルギー剤やステロイド点鼻薬で鼻炎を改善させましょう。
●付属品であるチンストラップを装着し下顎を持ち上げて口が開かないように固定しましょう。
●上記がうまくいかない場合は、フルフェイスマスクに変更しましょう。

②喉や鼻が乾燥する→大部分は冷たい空気が喉や鼻の粘膜を刺激することで生じます。
●寝室に加温、加湿器を置くようにしましょう。ハロゲンヒーターは空気を乾燥させませんので効果があると思います。
●CPAP装置の加湿機能を設定しましょう→医師が遠隔で設定します。

③お腹に空気がたまって張る→睡眠中に空気を飲み込んでいる可能性が高いです
●主に最大圧を下げることで対応します。→医師が遠隔で設定します。

④CPAP治療中にトイレに行きたくなった→在宅酸素療法ではありませんので外したままの状態でも問題はありません。また引火の心配も必要ありません。
●装置を外して用を済ませてください。そのあと際装着して入眠ください。

uploaded on January 28, 2026.

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