波の表現がすごいですね。
![](https://www.kwc.server-shared.com/Travel-and-Art/wp-content/uploads/2020/05/h-crb7.jpg)
ギュスターヴ・クールベ(1819-1877)
『秋の海』1867
【鑑賞の小ネタ】
・遠くにヨット
・これから天気はどうなる?
・ノルマンディの海岸
・クールベは現実を描く画家
・波の白い部分をパレットナイフで描く
波が荒いです。嵐の前なのか後なのか。どう見えるでしょうか?遠くにヨットが描かれています。かなり沖に出ているようですが、高波で戻れないのでしょうか?何れにしても風に左右される帆船なので、この天候だと操縦が難しそうですよね。
クールベはノルマンディの海岸をテーマとした作品を数多く残しています。国立西洋美術館の『波』と構図的にはよく似ています。
![](https://www.kwc.server-shared.com/Travel-and-Art/wp-content/uploads/2020/05/Gustave_Courbet_-_Waves_-_Google_Art_Project-1024x803.jpg)
『波』1870
次の2作品は岸に船が描かれています。漁船だと思いますが、よく見ると種類も色々です。
![](https://www.kwc.server-shared.com/Travel-and-Art/wp-content/uploads/2020/05/1200px-La_mer_orageuse_dit_aussi_La_vague『嵐の海』1870 -1024x743.gif)
『嵐の海』1870
![](https://www.kwc.server-shared.com/Travel-and-Art/wp-content/uploads/2020/05/Gustave_Courbet_019-11869-『Vagues』Philadelphia-museum-1024x507.jpg)
『Vague(波)』1869
どの作品も嵐の雲のようですが、共通して晴れ間(明るい部分)が覗いています。ところで、ノルマンディの海岸と言えば、「エトルタの断崖」が有名です。多くの画家たちがモティーフとして取り上げた場所です。もちろん、クールベも描いています。
![](https://www.kwc.server-shared.com/Travel-and-Art/wp-content/uploads/2020/05/1120px-Gustav_Courbet_-_Rocks_of_Étretat_1869『エトルタの岩』1869 ベルリン国立博物館-1024x822.jpg)
『エトルタの岩』1869
![](https://www.kwc.server-shared.com/Travel-and-Art/wp-content/uploads/2020/05/courbet_etretat-『エトルタの崖、嵐のあと』1870 オルセー美術館.jpg)
『エトルタの崖、嵐のあと』1870
大原美術館の作品は、空と海(波)、そしてその場の空気を重視して描いてるように思います。嵐が来るのか去ったのか、どの作品もとても臨場感のある仕上がりとなっています。
まだまだ伝統的な歴史画や風俗画が良しとされていた時代に、クールベは現実をありのままに捉えて表現(写実主義)しようとしました。なかかな受け入れてはもらえなかったようですが、サロン(官展)にもどんどん発表していきました。そんなクールベは、近代絵画の重要な革新者のひとりなんだそうです。後の印象派に大きく影響を及ぼすこととなります。
「嵐」の絵が多いのも、すこし分かったような気がします。クールベが今後の展開を予感していたかどうかは分かりませんが、これから印象派という大きな波が、確実に押し寄せて来るのですから。