『泉による女』:ルノワール

過去記事(大原美術館:『泉による女』ルノワール)で紹介しましたが、大原美術館にはルノワールの『泉による女』という作品が所蔵されています。貸出中でない限り、ほぼ展示されている作品なのではないでしょうか。

pai123
大原美術館
ピエール=オーギュスト・ルノワール(1841-1919)
『泉による女』1914

ある日、美術関係のTwitterを見ていたところ、この絵が目に留まりました👇

クリーヴランド美術館
『泉による女(Woman at the Founation)』1895

なんとそっくりです。顔の彫刻から水が流れている部分を除けば、ほぼ同じ構図で描かれていますよね。色々調べて行くと、次の作品にも辿り着きました👇

岐阜県美術館
『泉』1910年頃

クリーヴランド美術館と岐阜県美術館の作品の違いが筆者にはよく分かりません。全体の色味が違いますが、画像処理段階での誤差範囲のような気がします。 この2作品は同じなのではないかと…。

そして現在、展示会が開催されているようです。

「20世紀の美術」展
2021年7月27日(火)~11月21日(日)
岐阜県美術館ではこのたび、「20世紀の美術」展を開催いたします。
当美術館が誇る西洋・国内絵画の所蔵品コレクションから、20世紀に焦点をあてて紹介します。

岐阜県美術館HP

この展示会の中で、目玉の作品として前出のルノワールの『泉』が紹介されているのを見つけましたので、顔の彫刻が描かれている『泉』が、岐阜県美術館所蔵作品であることは間違いないと思います。

クリーヴランド美術館の方は結局よく分かりませんでした。ただ、ここで注目したかったのは制作年なんです。1895年とあります。岐阜県美術館の作品は1910年頃です。画家が、同じモチーフやモデルを採用して、ほとんど同じ構図で描くことはよくあることです。絵の中の女性のモデルとなった人物は、全て同一人物と考えて良いと思います。顔、似てますよね。

過去記事では、1900年生まれのデデではないかと書いたのですが、1910年や1895年の作品が見つかってしまいましたので、これはデデではないですよね。

ということで、その他のモデル候補として挙げていたガブリエルに落ち着きそうです。ガブリエルは、ルノワールが1890年にアリーヌと正式結婚した後、家政婦として雇われた人物です。妻アリーヌの従妹です。1894年から雇われ、以後20年もの間、ルノワール一家と過ごすこととなります。ガブリエルはこちらです👇

『ガブリエルとジャン』1895

ジャンは、1894年に生まれたルノワールの次男です。ガブリエルの少し下がり気味の眉が、全ての作品で共通しているように見えるのですが…。どうでしょう?

また何か見つかるかもしれませんが、今のところ、『泉による女』のモデルは、過去記事で推していたデデではなく、ガブリエルです👍

【追伸】
大原美術館の『泉による女』として、顔の彫刻が描かれている作品を紹介しているのをいくつか目にしました。大原美術館の『泉による女』には、顔の彫刻は描かれていません。実物を見たことがあるので間違いなしです(^-^)