大原美術館:『静物』ヴラマンク

筆者はまだ実物を見たことがありませんが、大原美術館所蔵作品のようです。

大原美術館
モーリス・ド・ヴラマンク(1876-1958)
『静物』1922

【鑑賞の小ネタ】
・第一次世界大戦後の作品
・フォーヴィスムから離れる
・暗めの色彩に移行

過去記事(大原美術館:『サン=ドニ風景』ヴラマンク)で紹介した作品とはかなり様子が異なる作品です。

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大原美術館
モーリス・ド・ヴラマンク(1876-1958)
『サン=ドニ風景』1908

同じ画家が描いたとは思えないですよね👆
『サン=ドニ風景』と同じ頃描いた静物画がこちら👇

個人蔵
『緑色のテーブルの上の静物』1907

今回取り上げた作品『静物』と比べてみて下さい。机、皿、果物と共通するモチーフが描かれていますね。でも、色彩、描き方等が随分違います。フォーヴィスムの画家で知られるヴラマンクですが、この頃の画風はセザンヌの影響をかなり受けていることがよく分かります。

第1次世界大戦(1914年~1918年)後、ブラマンクはパリを離れ、郊外へと住まいを移しました。その地で村の風景や花、静物を多く描きました。そして、大原美術館の『静物』のような画風に変わったのはこの頃のようです。『静物』1922年と同じ頃に描いた村の風景画がこちら👇

ポーラ美術館
『雪』1920-1922年頃

筆のタッチや暗い色の感じが大原美術館の『静物』1922によく似ていますね。ヴラマンクは第一次世界大戦の兵役にも就いていたので、そこで何かが大きく変化したのかもしれません。

ヴラマンクは自由を好む人だったようで、あらゆる伝統や教育を拒否したそうです。16歳で家を飛び出し、18歳で結婚。自転車選手をしたり、オーケストラでバイオリンを弾いたりして(※ヴラマンクの親は音楽教師)生計を立てました。絵画についても自由で、ほとんど独学だったといいます。セザンヌやゴッホの影響を少なからず受けながらも独自の画風を確立した画家だったようです。