大原美術館:『飛行(「シュプレマティスム :34の素描」より』マレーヴィッチ ~その2~

大原美術館
カジミール・マレーヴィッチ(1878-1935)
『飛行(「シュプレマティスム :34の素描」より』1920

この作品によく似た作品を見つけました👇

MoMA(ニューヨーク近代美術館)
『シュプレマティスムの構成 :飛行機の飛行』1915

これを180度時計回りに回転させると👇

黒一色ではありませんが、大原美術館の『飛行』にそっくりです。

共通点は「飛行」ですね。世界初の有人動力飛行は、ライト兄弟の「ライトフライヤー号」によるもので、1903年12月17日でした。この出来事は、20世紀初頭の近代技術の象徴で、マレーヴィッチにとっても衝撃的だったことでしょう。そして、人類が地上から飛び立った(解放された)ように、「絵画もまた現実の対象を描くことから解放されるべきだ」と考えたそうです。

『シュプレマティスムの構成 :飛行機の飛行』1915が発表された展示会で配布されたリーフレットの中でマレーヴィッチは次のように書いています。

私は形態のゼロに変身し、地平線の環を破壊し、物事の輪、つまり芸術家と自然の形態を閉じ込める地平線の環から逃れました。

MoMA HPより

これは難しい…。これまでの絵画(具象画)の常識から解放され、真の絵画表現の世界へ突入した感じでしょうか?

マレーヴィチは正方形や長方形、円の組み合わせ等の幾何学的な形を多く使用していますが、なかでも、正方形は完璧な形であったようです。
マレーヴィチの『黒の正方形』という有名な作品があります。白地のカンバスに黒い正方形が描かれた作品で、これはひとつの色「無色」であり、「何色でもない色」によって色彩を約束事から解放したとありました。ん~。

とにかく、何にも縛られず、解放された気分で、マレーヴィチの作品を見れば良いことだけは分かったような気がします。だとすると、「なんかかっこいいかも」という筆者の感想はありですよね👍 

絵画鑑賞の時、筆者は、ぼんやりと感じたことを大事にしています。ちょっとした感情なので、すぐに流れていきがちな心の動きですが。

芸術関係の本を読んでいると「脳を揺さぶる」「脳が揺さぶられる」といった表現をよく目にします。「心」ではなく、「脳」なんですよねぇ。これまであまり深く考えたことはなかったのですが、「心」の方は、自分の意識がちゃんとある中での揺さぶりで、「脳」の方は、直接脳に響く問答無用の揺さぶり、のような気がします。ぱっと見よく分からない系の抽象画は、「脳」の方、かな?

そこまでの衝撃ではないけれど、ほんの少し心が脳がユサッとするだけでも意味があると筆者は思っています。なぜなら、ちょっとおもしろいからです(^-^)

番外編:ヒラタクワガタの産卵セット

コクワガタの産卵セット作りは過去2回経験しました👍 コクワガタは産卵木の中に産卵(番外編:【コクワ飼育シーズン2】コクワガタの産卵木(2024年8月))しますので、クヌギマット(土の部分)にそれほど注意を払う必要はありません。

ヒラタクワガタは、朽木(クチキ:産卵木として使用するのはクヌギであることが多い)の中ではなく、クヌギマット(土)に産卵します。これは大きな違いですね。気合を入れて、産卵セットを作らねばなりません。

基本的にクワガタの環境は干からびていてはだめで、常にしっとりしていなくてはなりません。これはクワガタ飼育の大前提です。霧吹きは必須アイテムです。
まず、産卵木を水に30分ほど漬け込みました。(あまり漬け過ぎると水切れが悪くなり良くないみたいです。)


その後、5~6時間ほど陰干ししました。(余分な水分があると、青カビが生えてしまい、クワガタによくありませんのでこの一手間は大事だと思います。)


陰干ししている間に、クヌギマットを固めます。

少しずつクヌギマットを入れて、霧吹きでシュッシュ。水を入れたペットボトルで上から押さえつけました。

ここまで固めたら産卵木投入です。産卵木の扱いについては飼育者によって色々で、外側の樹皮をむいて使用する人もいるようですが、筆者は自然に近い状態、樹皮をむかずそのままで使用することにしました。そして、すっぽりクヌギマットに埋め込む人、7割ほど埋め込む人等、色々みたいです。筆者は7割埋め込むことにしました。産卵木を埋め込んだら、産卵木の周りもしっかり固めます。


産卵には栄養がいるので、昆虫ゼリーをぎっしり置きました。

昆虫ゼリーを置いている上層部のクヌギマットは固めずふわっと少し押さえる程度にしてあります。

お母さんヒラタクワガタ、入ります!


昆虫ゼリーに行くでしょうか?クヌギマットに潜るかな?

昆虫ゼリーかな?

潜りましたねぇ。メスは基本的に潜っていることが多いので納得の結果です。クヌギマットの上層部はあまり固めてませんので、潜りやすかったと思います(^-^)

ちなみに、ヒラタクワガタは朽木の中に産卵しないので、朽木を投入しない人もいるようです。なんとなく、朽木があった方がクワガタ的にも落ち着くのではないかと思って筆者は朽木投入派だったんですが、朽木とクヌギマットのきわきわの辺りに産卵するのではないかという話を小耳に挟みました!大満足です✨

これにて産卵セット、完了です👍
(※採集日7月5日から6日後、2026年7月11日)

番外編:ヒラタクワガタのメスがやって来た!

コクワガタのメスの飼育は過去に2シーズン(番外編:久しぶりに本気でクワガタ飼育~番外編:子コクワ、元の山へ帰る🌲)(番外編:【コクワ飼育シーズン2】2024年夏、再びやって来たコクワガタのメス~番外編:【コクワ飼育シーズン2】コクワ3姉妹、山(古墳)へ帰る(2025 年5月))紹介しました。どちらの飼育もなんとかうまくいったのではないかと思っています。

クワガタ飼育で、産卵から成虫までの過程を経験すると、いつの間にかその魅力にはまっている自分に気づきます。夏が近づくと、ついついそれらしい木と黒い影を探してしまうのはそのためです。普段の散歩中は、普通に景色や花を見て楽しんでいますが、夏は木肌をギラギラ見つめる筆者います。

ということで、この夏は、夜にクワガタ採集へ行ってしまいました!ヒラタクワガタがいたらいいなぁと思って出かけました。なかなか見つからずそろそろ帰ろうかなと思っていたその時、ヒラタクワガタのメスを見つけることができました✨

2026年7月5日撮影 ヒラタクワガタのメスがいた木

野生のクワガタを見つけるこのロマン、一度は経験してもらいたいものです。ヒラタクワガタのメスとなると、コクワガタのメスより一回り大きく、それはもうゴキブリ状態ですが、遠目でも筆者が間違うことはもうありません。動きも随分違いますしね。ゴキブリの動きはやはりササッとあの動きをします。クワガタの動きはあれほど早くなく、チョコチョコチョコって感じですから。

2026年7月5日撮影 ヒラタクワガタのメス
2026年7月5日撮影 ヒラタクワガタのメス食事中
2026年7月5日撮影 ヒラタクワガタのメス

いかがでしょう?このヒラタクワガタのメス。詳しい人なら、オオクワガタのメスに似ていると思うのではないでしょうか?実際よく似てるんです。羽がテカテカして薄っすら縦に筋が入ってて。まぁ、採集場所がどう考えてもオオクワガタがいなさそうな所なので、まずヒラタクワガタのメスで大丈夫だと思います。

ギュッと足を縮めてこの写真👆では分かりませんが、符節(フセツ:カブトムシやクワガタなどの昆虫や節足動物の足の先端部分)が欠けている足が1つありました。ヒラタクワガタのメスの寿命は平均2年前後です。越冬するクワガタです。成虫になったばかりのクワガタの符節は欠けることなく揃っていることが多いので、このメスは越冬組かもしれません。多分、ベテランお母さんです(^-^)

しばらく観賞してから、産卵セットを用意しようと思います。ヒラタクワガタのメスを筆者自身が飼育するのは初めてなので頑張らねばなりません👍 どうやら産卵の場所がコクワガタとは違うようですョ。

大原美術館:『飛行(「シュプレマティスム :34の素描」より』マレーヴィッチ ~その1~

何かの設計図かと思いました。

大原美術館
カジミール・マレーヴィッチ(1878-1935)
『飛行(「シュプレマティスム :34の素描」より』1920

【鑑賞の小ネタ】
・ウクライナに生まれる
・シュプレマティスムの創始者
・幾何学的な形態と抽象性
・多くのアーティストに影響を与える

シュプレマティスムとは何か調べると、大抵、絶対主義と説明されています。ここで言う絶対主義は、絶対王政(国王が絶対的な権力を持って国を治めた政治のしくみ)のそれではなく、美術上で、抽象性を徹底した絵画の一形態のことを意味しています。極限まで抽象性を追求した革新的な絵画運動でした。絶対主義の哲学上の側面である絶対的な真理や価値、存在を認める考え方からの究極の抽象絵画といったところでしょうか。

四角いものが寄せ集まったシンプルな作品なのに、なんだか難しい…。 抽象画は特に、鑑賞者側に解釈を丸投げされる感があるので、分からない、難しい、理解できない等のイメージを持ちやすいですよね。

でも、それで、どうやら良いようですョ👍 これは何だ?とちょっと考えた、それで良いみたいです(^-^)

筆者はこの作品、タイトルに「飛行」とあるので、飛行場の設計図かなと思いました。飛行場の建物部分を上(空)から見た感じです。そして、実物を見たら分かるのですが、かなり小さなサイズ(21.5㎝×17.5㎝)の作品となっています。大きさ的な存在感は低めというわけですが、じっと見ているうちに、なんと、「かっこいいかも」という思いに至りました。これには驚きです。そう感じた要因は、黒一色であること、絶妙な余白、四角という形等々です。全てのバランスがなんだかかっこいいと感じたのだと思います。シュプレマティスム的に言えば、「この作品を見てかっこいいという絶対的な感情を確認(理解)できた」って感じでしょうか? なんかちょっと違うかもしれませんが…。

タイトルに「シュプレマティスム :34の素描」とあります。この「飛行」は、その34の素描の中の1つです。その他いくつかの素描がこちら👇

『小さな黒い十字架』
『3つの黒と5つの灰色の要素』
『3本の梁と十字架』
『”運動と障害”の感覚』
『黒い正方形』

絶対的な何か、感じたでしょうか?
   

その2(大原美術館:『飛行(「シュプレマティスム :34の素描」より』マレーヴィッチ ~その2~)へ続きます。

大原美術館:『モロッコの市場』デュフレーヌ

色んな動物が描かれていますね。

大原美術館
シャルル=ジョルジュ・デュフレーヌ(1876—1938)
『モロッコの市場』1920

【鑑賞の小ネタ】
・フランスの画家
・1910年に北アフリカ賞を受賞
・アルジェリアに滞在
・キュビスムの影響あり

出典:Google Maps

赤の点線で囲まれた国がアルジェリアです。モロッコは隣の国ですね。フランスの「北アフリカ賞」とは、かつてフランスの芸術家や画家を対象に授与されていた賞のようです。受賞者には、アルジェリアの首都アルジェにある芸術家村での滞在・創作の機会を提供する制度でした。デュフレーヌは1910年に受賞し、1912年までアルジェに滞在したそうです。(※アルジェリアは1848年~1962年までフランスの一部)

「モロッコの市場」の制作年は1920年なので、アルジェ滞在中に描いた作品ではないようですね。異国情緒あふれるこの作品、フランスへ帰国後も北アフリカの影響を強く受けたことがよく分かります。

「モロッコの市場」にはどんな動物が描かれているのでしょう? ラクダ、馬、牛、羊、ロバ、人(フードをかぶっていますョ)も何人かいますね。たくさんの色を使って描かれていることもあり、とても賑やかな印象ですが、中央のヤシの木っぽい植物のおかげで、全体のバランスがとても良い仕上がりになっているのではないかと思います。

モロッコの市場ってこんな感じなのかなと思って筆者はこの絵を見ていたのですが、なんと、デュフレーヌは「モロッコを訪れたことはなく、想像で描いたものだと考えられる」と図録集に書かれていました! 想像だったんですね。驚きです。

「モロッコの市場」と同じ制作年の作品を探してみました。

『マタニティ』1920

なんとなく色合いが似てます。描かれているのは、デュフレーヌの近しい人でしょうか? 詳細は不明なのでなんともですが、1920年というと、第一次世界大戦(1914年~1918年)後です。そしてデュフレーヌは戦争に応召していました。戦争から帰ってきて、少し落ち着いた時期に描かれた作品たちなのかもしれませんね。

           

「モロッコの市場」を購入したのは大原孫三郎(買い付けは画家の児島虎次郎)です。そして、大原美術館洋画購入の第一号はアマン=ジャンの「髪」(過去記事、大原美術館:『髪』アマン=ジャン)なんですが、この「アマン=ジャンにより大原コレクションに加えられた」と図録集に書かれていました。アマン=ジャンが児島虎次郎にデュフレーヌを紹介したということでしょうか?

「モロッコの市場」は現在展示中ですのでぜひご覧ください(^-^)