3つ目はあまりにも有名なこちら。
シント・バーフ大聖堂 ヘント
フ―ベルト・ファン・エイク(1385年頃-1426年)
ヤン・ファン・エイク(1395年頃-1441年)
『ヘントの祭壇画』1432 内装
『ヘントの祭壇画』です。12枚のパネルで構成されていて、両側の8枚のパネルを閉じるとこんな感じです👇
『ヘントの祭壇画』1432 外装
内装中央下段の横長のパネルに羊が描かれているのがわかるでしょうか?
中央に羊がいます。この羊(神に捧げる生贄)は、「神秘の子羊」と呼ばれています。キリスト教において「子羊」はイエス・キリストを指す象徴的な表現の1つです。『ヘントの祭壇画』の中で、最も重要な部分であると言って良いかもしれませんね。
『ヘントの祭壇画』は数百年にわたって修復が繰り返されていて、オリジナルからかなり変更さていることが分かったようです。2020年1月に修復された「神秘の子羊」が公開されました。
「神秘の子羊」修復前
「神秘の子羊」修復後
いかがでしょう? 随分顔が変わりました。修復後の羊の顔はなんだかかわいい。どちらが神秘的かと聞かれれば、修復前のような気がします。耳が4つあるように見えるし、目もちょっとこわい。
西洋美術に詳しい山田五郎氏がYouTubeで、「本来の羊っぽい顔は修復前であるが、神秘の子羊(イエス・キリスト)がその辺の羊と同じ顔であってはいけない。むしろ、この顔でないと。」というような内容のお話をされていました。というのも、修復後の顔の変化については賛否両論で、どちらかと言えば修復前の方が良かったという意見が多くみられます。ある大学の教授が「百年の恋も冷めた」とおっしゃったとか。
筆者的には、ただ事でない神秘性を感じるのは修復前です。ただ、山田五郎氏の切り口で考えてみたら、実際の羊ではなく人のようなかわいい顔をした「神秘の子羊」はありなんだろうなと思いました。
それにしても、古い時代の修復は手を加えがちだなと思いました。本来修復とは、壊れたり傷ついたりした部分を直して元の状態に戻すことであって、いい感じに手を加えるものではありませんよね。その時代その時代で、修復に対する考えか方も変化していったのだとは思いますが。修復の世界、興味深いですね。