Case 09; PLEC: 膵臓の偶発腫瘍(incidentaloma)としてリンパ上皮性嚢胞(LEC)が認められることがある。典型症例のMRI画像所見はT1WIで高信号、dynamic MRIで嚢胞壁(被膜)が濃染されるパターンを示すが膵癌と鑑別が困難な症例も多い。非典型的画像を呈したPLECの1ケースレポート。

Pancreatic LymphoEpithelial Cyst (PLEC)  : 膵リンパ上皮(性)嚢胞

①PLECとは、

PLECは膵嚢胞性病変の0.5%程度の頻度で認められる稀な良性腫瘍である。男女比 4:1〜6:1と中年男性(平均55歳)に好発し、サイズは1cm〜15cmと様々であるが、平均4.5〜6cmで膵臓のあらゆる部位に起こり得るが膵体部と尾部の報告症例が多い。嚢胞のパターンが、多房性60%、単房性が40%の割合で認められ、PLECの典型例では、膵臓から突出した境界明瞭な円形の腫瘤で内部に脂肪織を含む。PLECは膵臓の真性嚢胞と考えられており、扁平上皮で被包されている。

約半数が無症状で糖尿病の精査の際などに偶然に指摘されたりするようであるが、自覚症状としては腹痛(40%)、その他全身倦怠感や食欲不振などの不定主訴が占める。血液検査では、50%の症例でCA19-9が、17~32%の症例でCEAの上昇が認められるという報告がある。

②PLECの画像所見

典型症例のMRIでは脂肪織を反映して、T1強調画像で高信号、dynamic MRIで嚢胞壁(被膜)が濃染されるパターンを示すが、症例により様々な画像所見を呈する為、一般的に術前診断が困難な腫瘍と言われている。悪性腫瘍との鑑別が困難なため核出術などで切除されることが多いようです。

基本的には良性腫瘍であるので術前に確定診断がもし可能であれば経過観察可能な腫瘍であると言えます。

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