Case 24-3; COVID-19 part3: 現時点での基本再生産数(Ro)と接触頻度、感染確率から考えられる行動制限の根拠と妥当性、現在国内で行われている控えめなPCR検査の原因と規模の妥当性、PCR強制率から見えるもの、海外との比較、最終規模方程式(極限方程式)と臨界感受性人口密度に関して

Coronavirus Disease 2019: COVID-19 / 新型コロナウイルス感染症

基本再生産数Ro、接触頻度、行動制限との関連性とPCR検査の果たす役割、最終規模方程式(極限方程式)に関して補足しました、

①基本再生産数Roと行動制限

基本再生産数Ro(basic reproduction number)は、全員が感受性者(病原体に対する免疫がない)である人口集団に一人の感染者Iが侵入した際、Iの感染性持続期間(人に感染させる能力を保持している期間)内にIから直接感染を受ける個体数(2次感染者)の平均値(=期待値)と定義される。Roは排出される病原体の量、感染を受けた感受性者の病原体の体内での増殖スピードなどの病気の性質による因子や、人→人の接触パターンなどの社会活動要因の影響を受ける(→Ro に関してはpart 2参照)。

ちなみに、一様な条件下での感染流行の条件は、
①接触頻度 c (contact rate) : 一つの個体が他の個体と接触する平均回数
②感染確率 p (transmission risk):実際の感染が成立する確率
③感染持続期間 D (infectious period):感染者の感染性期間の平均値 
で規定され、
     Ro = cpDと表現される。

人口集団における免疫保有者(回復者や自然免疫、ワクチンによる獲得免疫者など)の割合をP(0<P<1)とおくと感受性者の割合は1-pであるから、基本再生産数は、 
      (1-P)Ro   と置き換えできる。

この時、(1-P)Ro < 1でなければ感染流行は自然収束しない。
  ∴ P >1-1/Ro

COVID-19のRoを5.0と仮定(これが妥当かどうかは別として)すると、P > 80%以上でなければ収束しないことがわかる。

このPを接触率に置き換えたものが現在の80%の行動制限の根拠となっている。 この値はRo値に大きく影響されるので、現状のように再三Ro値が修正を受けるような状態ではなかなかどのあたりまで行動制限が必要かを示すのは困難である。

数理モデルを用いて推定したCOVID-19のRo値は、6つの研究報告からRo=1.5〜6.49(平均4.2)、3つの研究報告からRo=2.2〜3.58(平均2.67)と見積もられている。どの辺の値を採択するかで行動制限のレベルの規制条件が変わってくる。Ro値を正しく推定するなら最終規模方程式(極限方程式)から求めるべきと思われるが完全終息したと考えられる地域が今のところ存在しないのでRo=4.2を採択すれば80%の行動規制をかければ理論的には自然収束する方向に向かうとは考えらる。ただし生物を対象とした場合、数学のような美しい方程式とはならないのが一般論であり単なる一つの通過ポイントを示しているに他ならず絶対値ではない。状況に応じて微調整する必要のある暫定の目安であることを理解しておく必要がある、

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