Case 04; GA: 胃アニサキス症は、アニサキス幼虫(ほとんどはAnisakis Simplex)の感染した魚を生食することにより引き起こされる胃粘膜のアレルギー反応である。ほとんどのケースが、生食12時間後に重度の腹痛、嘔気を主訴として発症する。上部消化管内視鏡検査によりアニサキス虫体を確認できれば確定診断となる。内視鏡検査で確定診断できた1ケースレポート。

Gastric Anisakiasis : 胃アニサキス症

胃アニサキス症とは

アニサキス幼虫に感染した魚の生食により発症する。国内では年間2000例以上の発症件数がある。国内の主な感染源となり得る魚種は、カレイ、イカ、タラ、イワシ、サバ、カツオなどであるが、韓国ではアナゴから感染したと考えられる症例がもっとも多い様なので、海外旅行の際は国ごとに魚種が異なることに注意が必要である。感染を避けるには、①60℃以上 x 1分以上のグリルまたはオーブン焼き、②74℃以上 x 15秒以上の電子レンジ調理、③-20℃以下 x 24時間以上の冷凍保存により虫体を死滅させることが推奨される。

②胃アニサキス症の症状はアレルギー反応である

発症例の81.3%はAnisakis Simplex(Anisakis type1)の感染によると報告されており、大部分の症例で生魚を食した後、約12時間で腹痛、嘔気を発症する。感染部位の82.4%は胃であるが、小腸や食道、大腸などにも認められることがある。冬に発症件数が多いがこれは対象魚の生食が増えることによると推定される。アニサキスによる症状は、虫体が粘膜をかじりこむ際に同時に放出されるタンパク分解酵素が食道背側の腺組織でのプロテアーゼ産生を誘導することにより、局所(または稀に全身性)のアレルギー反応を引き起こすと考えられている。初感染では無症状の場合もある(胃カメラをしてみると偶然虫が認められたというケースが時にあります)。また、アニサキス症例の内視鏡でしばしば観察されるアニサキス虫体の存在部位の周辺に認められる多発性の発赤、粘膜糜爛や出血性病変は、虫体から放出される抗凝固因子に起因すると考えられている。

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