Case24-7 part2; COVID-19 transmission route part2: 東アジア諸国における市中感染が欧米諸国に比べて桁外れに非拡張性である原因に関して考えられる原因と即効性があると考えられる感染拡大防止対策について

気温/湿度などの地理的条件、ロックダウンやコンタクトトレーシングなどの国家レベルの隔離対策の厳格度の問題は別として、個人の自己防衛レベルが各国ともにmaxレベルに到達しているにもかかわらず相変わらず欧米諸国では感染拡大を制御できていない。我が国においても3月後半から再び感染者が増加しているが、それでも既にワクチン接種がある程度施行された国々よりも1日発生患者数はかなり少ない。強制力のない緩い対策にもかかわらずその顔つきは桁違いに大人しい。これは公衆衛生水準の問題以外に感染数理におけるkey termであるdriving force、すなわち感染力βが大きくなりにくい別の要因が存在していることを示していると考えられる

①東アジアとヨーロッパ、欧米諸国との感染者数、死亡者数、罹患率(%)、致死率(%)の比較

2021年1月8日版で厚生労働省がアップしている各国のCOVID19関連肺炎の集計データと外務省のアップしている世界の人口データを用いて東アジアの17カ国の罹患率と致死率を比較してみた。東アジアは、全域でCOVID19パンデミック1年後においても低い罹患率を示しており世界全体の罹患総患者数の高々2~3%を占めるに過ぎない(表1)。

表1.東アジア諸国のCOVID19流行状況と世界全体での傾向比較: 国籍がはっきりしないダイアモンド・プリンセズ号の症例とその他に分類されている721症例(死亡症例15例)は除外した。人口統計は外務省HPに記載されているデータを使用した。

一方ヨーロッパ州では、4つの地域域でほぼ均等にCOVID19が流行しており、罹患率は世界平均の3〜4倍、総罹患患者および死亡者数も全世界の総数の約30%を占めている(表2)。

表2. ヨーロッパ州におけるCOVID19流行状況と世界全体での傾向比較:西ヨーロッパ9カ国、北ヨーロッパ9カ国、南ヨーロッパ16カ国、東ヨーロッパ10カ国に関して集計を行った(地理的にアジアに位置するアルメニア、アゼルバイジャン、キプロス、ジョージア、イスラエル、カザフスタン、トルコは含めていない)。

ヨーロッパ州とアメリカ州(南北アメリカ大陸)を合わせた欧米諸国で集計すると世界の総罹患患者、死亡者数の約70%を占めていることが分かる(表3)。

表3. 欧米諸国におけるCOVID19流行状況と世界全体での傾向比較:ヨーロッパ州44カ国と北アメリカ(カナダ、米国、メキシコ)および南アメリカ12カ国を加えて欧米諸国として集計を行った。

以上から、COVID19は欧米諸国を席巻している脅威となる感染症ではあることは事実であるが、東アジアでの拡散状況は極めて鈍く明らかに東アジアに共通する何らかの感染力を減弱させる因子が存在すると考えられる。

一方ワクチンに関しては、この最大流行地域である欧米諸国に集中接種しなければ巨視的に見た上でパンデミックは治らないと考えられる。欧米諸国はワクチンの副作用リスク等を云々言っている余裕はない状況であり、東アジアの状況とは異なる。本国の状況を考えると同じ理屈で、大阪、東京の2大流行地に集中接種が最優先で必要と考えられるがこれで少し流行が制御されても欧米諸国から感染人口が流入すればすぐもとに戻ると考えられ結局は欧米諸国が制圧に成功しない限りパンデミックは収束しないと考えられる。

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