Sponge Cakeを作る (その5-2); シフォンケーキを極める part 2-2 : 5種類のシフォンケーキサンプル( A→E )から、生地の断面構造と食感を比較し、最適な小麦粉/砂糖の配合比( high ratio)と卵黄/卵白混合比を決定、シフォンケーキのオリジナルレシピを完結する。

modified chiffon cake

基本的なシフォンケーキの配合比を変更してオリジナルなシフォンケーキを作成しにいきました。食感や卵黄の風味などそれぞれ好みがあると思いますので少しライトで引き締まった食感のシフォンケーキに仕上げてみました。

まずは前回の色々な卵黄:卵白の配合比から美味しそうなスポンジに発展しそうなベースの生地をチョイスします。略号はEY: 卵黄、EW: 卵白、PSS: 粉砕上白糖、CT: クリームオブターター、VO: バニラオイル、BP: ベーキングパウダーです。作成方法はシフォンケーキ標準レシピの常法に従って5種類のサンプル生地( A→E )をφ 6 cmのラメキンで焼成しました。

A→Eまでの断面を観察します。A: EY: EW =0:5、B: EY: EW =1:5、 C: EY: EW =2:5、D: EY: EW =3:5、E: EY: EW =4:5と左から右へ並んでいます。D,Eは焼き時間を延長する必要があり、Eは構造強度が強く質感があるためクッキングペーパーの隙間を破って膨張したため裂けました。

Cut-surface of sample cakes with the various combination of egg yolks per egg whites : Figures correspond sample A to E from left to right. Sample A is a typical angel food cake. The ratio egg yolks per egg whites is; 0 in A, 1/5 in B, 2/5 in C, 3/5 in D, 4/5 in E. Unfortunately, sample E ruptured during oven-bake.

5種類のサンプルからサンプルCをチョイスしました。触感がエンゼルフードケーキに近く、焼成した卵黄の食感も程よい感じでBPによる縦方向の引き延ばしでさらに口当たりの改善が得られそうな印象でした。下図の中央左はエンゼルフードケーキ、中央右は基本のシフォンケーキ(BP使用)の断面、右図がサンプルCの断面です。BPによりCの断面がどのように変化するか大まかな方向は予測できそうです。

The sample C was selected for its modification. I assumed that the sample C will change its texture into that close to a typical chiffon cake plus an angel food cake with using baking powder.

サンプルCをベースにオリジナルなシフォンケーキの配合を考えました。卵黄:卵白の比率は2:5前後をチョイスします。これを軸に水分/小麦粉比(バッターの粘度とベーキングパウダーの効果に影響)、砂糖(上白糖)/小麦粉(>1(0.75)のhigh ratioに収める)に計算をして微調整します。水分比のカギになる牛乳(換水値90)の量は卵黄混合液に小麦粉を少量ずつ混合し、バッターの粘度(consistency)を見ながら少しずつ補充した結果、total 40 ml加えました(換水率からの理論値は10 ml相当です)。薄力粉の総使用量は102 g となりました。配合組成を下記に示します。今回作成したバッターをChiffon C、前回作成した基本のシフォンケーキをChiffon N, エンゼルフードケーキをChiffon Zとし、教科書的なシフォンケーキをchiffon Tとしています。C, N, Zはφ18cmのケーキパン用の用量(実測値で単位はグラム(g))で、Tは小麦粉を100とした時の配合比で示します。略号はPSS: Powdered Superfine Sugar, GS: Granulated Sugar, CT: Cream of Tartar, VO: Vegetable Oil, BP: Baking Powderです。

IngredientsChiffon C Chiffon N Chiffon Z Chiffon T
Cake Flour10213060100
PSS (GS)841046081 (108)
Whole Egg143
Egg Yolk52 (2.8 ea)74 (4 ea)
Egg White226 (7 ea)173 (5 ea)210 (5 ea)
CT31.331
VO405240
Water (Milk)(40)(104)80(88)
Salt2.02.512
BP454
Vanilla Oila few dropsa few dropsa few drops
Almond Essencea few drops
Baking Trick170C x 40 minutes 170C x 55 minutes 170C x 35 minutes
Blending Ratio of the Chiffon Cake C : Chiffon C → modified version (new), Chiffon N → conventional chiffon cake previously made, Chiffon Z → basic angel food cake, Chiffon T → basic chiffon cake (from text book)

入手した卵による誤差が微妙に出てきますので実測値だと同じ2個でも変わってきますので卵黄重量は、このシリーズの初期値である18.5 g/1個で統一してカウントしなおしています。これにあまりこだわりすぎるとお菓子作りが嫌になってきますのでほどほどの落とし所にしました。卵黄/卵白重量比では23%位になっていますので少し軽い食感に仕上がります。濃厚クリームやチョコレートグレーズなどで少しこってりしたフロスティングをしてもしつこく感じることはなさそうです。

Instruction: 調理法

シフォンケーキ作りの常法に準じますので端折ります。
①卵黄3個分、粉砕上白糖42グラム、牛乳40グラム、キャノラオイル40グラムを耐熱ボウルに入れ、Bain-marieで混合します。
②薄力粉102グラム、ベーキングパウダー4グラムを少しずつ篩い、ホイッパーで混ぜて安定した乳化状態にします。少し粘調ですがグルテンが析出してくるほどではないです。
③7個分の卵白にクリームオブターター3グラムを加えて、電動ホイッパーで泡立てします。粉砕上白糖を加えstiff peakのメレンゲに仕上げます、
④go back methodにしたがい両者を混合し、均一な生地になったら焼型に注ぎます。多すぎるようならラメキンに注いでカップケーキのように一緒に焼きます。ラメキンは170C x 20分、チューブパンの方は170C x 40分焼きます。
⑤ラメキンのケーキは熱いうちにパレットナイフで側面をぐるっと切り離してお皿にひっくり返して抜き出します。これで焼縮みは最小限になります。チューブパンはひっくり返してマグカップの上で冷まします。

Modified chiffon batter: Place 3 egg yolks, 42 gram powdered superfine sugar, 40 gram oil, and 40 gram milk into a middle bowl over Bain-marie and mix well. Shift 102 gram cake flour and 2 gram salt, 4 gram baking powder over the egg yolk mixture,and whisk until well incorporated. Place 7 egg whites and 3 gram cream of tartar in a metal bowl, and electric-whisk until soft peak form. Gradually adding the powdered superfine sugar, electric-whisk until stiff peak form. According to the go back method, combine the egg yolk mixture and the stiff peak meringue to fold it gently until it gets smooth and even. Pour the batter into the tube pan and oven-bake at 170C for 40 minutes.

膨張率から考えて、チューブパンに注ぐバッターの量は高さが2/3位に届くくらいが丁度いい感じでした。ラメキンで焼いたものは形、触感もなかなか行ける感じでしたので相性のいいフロスティングを特別に何か考えたいところです。

シフォンケーキのほうは、スポンジの味に影響しないようにパイナップルとフォンダンでトッピングしようと試みましたがちょっとした油断でフォンダンがオレンジリキュールカラメルになってしまいましたが、結果オーライということで完成です。

Final version of the modified chiffon cake

チョコレート苦手派流オリジナルシフォンケーキの配合組成は、
薄力粉 102グラム、粉砕上白糖 84グラム、卵黄 3個、卵白 7個、クリームオブターター 3グラム、植物オイル 40グラム、牛乳 40グラム、塩 2グラム、ベーキングパウダー 4グラム、バニラオイル 少々
オーブンタイム 170℃ 40分
となりました。

Sponge Cakeを作る(その5-1) ; シフォンケーキを極める part2-1: 教科書的なエンゼルフードケーキを基準に、小麦粉、砂糖、卵黄、卵白の比率を少しずつ変化させ教科書的なclassic chiffon cakeの組成になるまでA→Eの5段階のバッター(batter)サンプルを作成しオリジナルシフォンケーキの配合を決定するための予備試験を行った。

クラシックシフォンケーキ

基本のシフォンケーキ:Classic Chiffon Cake

前回シフォンケーキの原点であるエンゼルフードケーキを作成しゼロの「基準」を確認しました。今回はこの基準点から卵黄重量と保水量を少しずつ変化させながら変化の方向軸を確認に行きます。油脂にバターを加えるとテクスチャーの変化が大きすぎて方向性が分からなくなりますので油脂はオイル(キャノラオイル)に統一し、乳化に問題のない比率で加え、卵黄分量に比例させて増量します。その分保湿に必要な水分を牛乳で加えます。保水量は標準的なシフォンケーキの重量比から使用する卵黄重量に比例換算して計算しました。また今回も構造の弾性/歯ごたえに影響するベーキングパウダーは使しません。鉛直方向への膨張はメレンゲの起泡性と水蒸気圧のみを利用します。

①エンゼルケーキの立ち位置(座標)を”0″と決めましたので、個数換算(卵黄(個)/卵白(個))を基準とする水平軸(仮にX軸上に採ると)基本的なスポンジケーキの位置Sは、S=1.0(1/1)にあることになります。位置の変数xは、0<x<1にある条件でxはシフォンケーキの集合の要素を満たします。x=0.8(4/5)の位置がシフォンケーキの標準混合比となります。ちなみにx>1がカステラスポンジケーキの要素となります。まずは、エンゼルケーキ(x=0)の対極に相当するx=0.8の基本のシフォンケーキ(Classic Chiffon Cake)をΦ18 cmのシフォンケーキパンでこしらえます(ベーキンングパウダーは使用、ただし油脂はキャノラオイルに限定)。この風味と食感をよく覚えておきます。これが食感の方向ベクトルを推定するヒントになるはずです。

卵黄/卵白配合比と小麦と砂糖の配合比(ratio high / low)から分類したスポンジケーキの分類

教科書的な基本のシフォンケーキの配合組成は以下の通りです。Encyclopedia of Food and health 2016: P 582より引用させていただきました。これより上白糖を用いる場合の比率はシフォンケーキで81、エンジェルフードケーキで161と概算しました。

Chiffon Cake
(% Flour Weight)
Angel food Cake
(% Flour Weight)
Flour100100
Granulated Sugar108215
Egg White277
Whole Egg143
Cream of Tartar14
Oil40
Water 80
Salt21
Baking Powder4
教科書的なシフォンケーキとエンゼルフードケーキの配合組成:Encyclopedia of Food and health 2016: P 582より引用

ここから分量をΦ18 cmサイズのシフォンケーキ専用の焼型に合わせて計算、微調整していきます。ただし卵黄/卵白=4/5(個数比)で作成しますので少し分量修正が必要になります。卵白の換水値を80、牛乳の換水値90とし、卵白重量は1個34.6グラムでしたので卵黄より1個分多い卵白は約28グラムの水分とカウントしました。下記に今回作成した標準タイプのシフォンケーキの配合組成表を示します。
ただし以下のHigh Ratio ケーキの基本公式を使用します(焼型容積率75%で概算)。

① 卵の総用量(グラム)+ ミルクの総用量(グラム)>グラニュー糖の総用量

今回は卵黄74グラム+卵白173グラム=247グラム(実測値)、換算値は74 + (173-34.6)=212.4(=212グラム)の全卵総重量としました。全卵重量/小麦粉重量=1.63 (オリジナル1.43より14%誤差あり)

ミルク用量は換算値で104グラムなので トータル316グラム、上白糖総用量uはその3/4以下の分量なので237グラム未満と計算できる。(*多いほど仕上がったケーキの保湿が良好となり、長持ちする。)
換算値は、u=104グラムであるからこの条件を十分満たしている。

②小麦粉の総用量<砂糖の総用量 上白糖では小麦粉値との重量比0.75以上
104/130 = 0.81 > 0.75 これも条件をみたしている。

以上の約束定理を考慮した上で作成した成分配合表は以下のようになりました。これもある意味では結果的にオリジナルな配合組成になります。比較的きれいな数値になっているのではと思います。

IngredientsFor Φ18 cm tube pan
Egg Yolk4 e.a (74 gram)
Powdered Superfine Sugar52 gram
Vegetable Oil (canola)52 gram
Whole Milk104 gram
Cake Flour130 gram
Salt2 gram
Baking Powder5 gram
Egg White5 e.a.(173 gram)
Cream of Tartar2 gram
Powdered Superfine Sugar52 gram
Baking Trick170C x 55 minutes
Basic Chiffon Cake Recipe

Instructions: これはほぼエンジェルケーキと同じですので端折ります。
①卵黄、砂糖、オイル、牛乳をBain-Marieで混合します。
②小麦粉、塩、ベーキングパウダーを篩い、①と混合し安定した乳化状態にします。
③卵白にクリームオブターターを加えて、電動ホイッパーで泡立てし砂糖を加えながらメレンゲを仕上げます。
④メレンゲと卵黄混合液を混ぜてバッターを完成し、焼型に注ぎ170℃で55分オーブンで調理します。

Making chiffon batter: Place 4 egg yolk, 52 gram sugar, 52 gram oil, and 104 gram milk into a middle bowl over Bain-marie and mix well. Shift 130 gram cake flour and 2 gram salt, 5 gram baking powder over the egg yolk mixture,and whisk until well incorporated. Place 5 egg whites and 2 gram cream of tartar in a metal bowl, and electric-whisk until soft peak form. Gradually adding sugar, electric-whisk until stiff peak form. According to the go back method, combine the egg yolk mixture and the stiff peak meringue to fold it gently until it gets smooth and even. Pour the batter into the tube pan and oven-bake at 170C for 55 minutes.

オーブンで170度で55分焼いていく際のシフォンケーキが膨らむ過程を示します。焼き始めて5分ほどで表面が膨らみはじめ、10分で明らかに上に凸、20分で焼型の側面の高さを超えてしまったので表面にヒビが見え始め、25分で膨張はピークに達し接触面を失った生地の頂部は割れました(少しバッターが多すぎたことが原因でしょうね、容積率は55~60%でいい印象)。いずれにせよ表面はカットして平らにしますので結果的にはこのことはどうでもいいことにはなります(少しははみ出ないとカット出来ない)。

Thermal expansion of the batter: In 5 minutes baking at 170C, the batter begins to show its elevation. In 10 minutes, the apparent lentiform elevation appears. In 20 minutes, the elevation of the batter gets over the side wall of the tube pan to cause disruption of the surface. In 25 minutes, it reaches the peak elevation with marked crack.

オーブンから取り出した後は、焼型をひっくり返しマグカップなどの上に乗せて室温で冷ませます。上部の焼型からはみ出した部分をカットし表面を平らにします。保管する場合は水分が蒸発しないようにラップで包んで冷蔵庫に入れておきます。今回はスポンジの味にあまり影響がでないように植物性ホイップクリームであっさりとフロスティングしました。標準の4:5混合のシフォンケーキ、流石に公式化されて公表されているだけあって一部の隙もない食感の完成度です。ここから卵黄の混合比を変えてオリジナルな配合黄金比を探りにいきます。

クラシックシフォンケーキ完成

②次に、ミニチュア版のカップケーキサイズのサンプルA〜E(ベーキングパウダーなし)で卵黄の含量による食感の変化を探りにいきます。サンプルはA: zero(卵黄混合0)、B: 卵黄:卵白-1:5相当(個数比)、C: 卵黄:卵白-2:5相当 、D: 卵黄:卵白-3:5相当 、E: 卵黄:卵白-4:5相当 (標準のシフォンケーキ配合)、 として設定しすべてφ6cmのラメキンで作成しました。焼き時間は170℃x20分を目安としました。配合組成表は以下の通りです。略号はEY: 卵黄、OI:オイル、MI:ミルク、EW:卵白、CT:クリームオブターター、SA:塩、PS: 粉砕上白糖、CF:薄力粉、TE:使用した卵黄混合物、TM: 使用したメレンゲー薄力粉混合物、TV: total volume、BT: Baking Time(焼き時間)です。卵黄混合物は今回卵黄5個で81グラムでしたので卵黄1 個20グラムを使用する際の用量に修正しました。これにより数学的に美しく目視でわかりやすい配合に組み上げました。最終比率(卵黄/卵白パーセント)は、A=0%, B=11.7%, C=23.5%, D=35.2%, E=47.0%となります。基本のシフォンケーキに使用されている卵黄:卵白の重量比は、1:2~3であることがわかります。

IngredientsABCDETV
EY048121640/81(5)
PS0246820
OI03691230
MI0510152050
TE014284256140
EW3434343434170(5)
CT0.60.60.60.60.63
SA0.20.20.20.20.21.0
PS121212121260
CF121212121260
TM5959595959354
BT2020202530
Blending Ratio of the Sample Batter : Abbreviations are as follows; EY: egg yolk, OI: oil, MI: milk, EW: eg white, CT: cream of tartar, SA; salt, PS: powdered superfine sugar, CF: cake flour, TE:; total egg yolk mixture, TM: total meringue flour mixture, TV: total volume, BT: baking time

だいぶ長編記事で複雑化してきたのでここで一旦切ります。次回この結果と、結果からチョイスした配合でΦ18cm大のオリジナルシフォンケーキを焼いてみます。

Sponge Cakeを作る (その4); シフォンケーキを極める part 1: シフォンケーキの基準点となるエンゼルフードケーキを一般公開されているBoston Cooking Schoolの標準レシピに忠実に作成、high ratio cakeの神髄に迫ってみました。

エンジェルフードケーキ

 エンゼルフードケーキ: Classic Angel Food Cake

Swiss Roll用のスポンジケーキの黄金比を前回捻出しましたが、この比率は非常にシフォンケーキの組成に酷似しています。これは単においしい生地はシフォンケーキであると肯定したにすぎません。そこでシフォンケーキの原点であるクラシックエンゼルフードケーキ(卵黄混合なし、油脂混合なし、ベーキングパウダー混合なし)から少しずつ卵黄/油脂を混合していきオリジナルなシフォンケーキの混合比とHigh ratio cake(砂糖の添加量が小麦粉に比べて相当多いケーキ)に関して極めてみたいと思います。

まず、ゼロに値するもの(卵黄なし)をまず作成してその食感を確かめる必要がありますが、これには①エンゼルフードケーキ(油脂、ベーキングパウダー混合なし)と②ホワイトスポンンジケーキ(バター(混合比 小麦の重量の約1/2)、ベーキングパウダー混合)があります。いずれも基本レシピは周知されていますが、前者はhigh ratio cake(1:2)になります。断面は両方ともピュアーな白色調ですが前者は高級食パンをさらにモフモフにした食感(今回確認)で、後者は柔らかめのスポンジケーキのような食感(以前に確認)になります。油脂(バター)を加えることでの食感の方向性は前回のSwiss roll同様で重量感と保湿感を加える方向にベクトルが向きます。油脂の方向軸は見当がつきますが、砂糖を増量(high ratio)することに対する方向軸は現時点では確認できていません。

Ingredients: 基本のエンゼルフードケーキの配合組成は以下の通りです。原本(Boston Cooking School Cook Book, 1986) では、11個の卵白とグラニュー糖を用いていますが、グラニュー糖よりも卵白に親和性のより高い上白糖(superfine sugar)をさらにミキサーで粉砕したpowdered superfine sugarで統一しました。さらに10 inch(φ25 cm)相当からφ18 cmに減量換算し、卵白重量(実測値)にあわせて焼き時間も微調整しました。 φ18 cm のシフォンケーキ専用の焼き型を使用します。

IngredientsAmount for φ18 cm tube pan (chiffon cake pan)
Egg white (L)5 ea (210 gram)
Cream of Tartar3 gram
Salt1 gram
Powdered superfine sugar60 gram
Vanilla oila few drops
Almond extracta few drops
Cake flower60 gram
Powdered superfine sugar60 gram
Baking time170℃ x 35 minutes
Classic Angel Food Cake : The recipe is adjusted to a φ18 cm cake pan.

Instructions :
①上白糖120グラムをミキサーで砂粒状に粉砕します(8分位)。これでコーンスターチを含まないパウダーシュガーを作成します。
②薄力粉60グラムと作成したパウダーシュガー60グラムを混ぜて、これもミキサーにかけます。薄力粉を粉砕して細粒化/均質化することでメレンゲとの混合時に気泡消失を最小限に抑えるためです。

エンジェルフードケーキ01
The pictures show powdered superfine sugar and refined flour mixture.
Put superfine sugar into a blender to be crushed into fine powder. Mix the shifted cake flour and the powdered superfine sugar in a cup. Again, put the flour mixture into a blender to be fine powder so as not to deflate the meringue on folding.

③卵黄と卵白を分けます。(余った卵黄はカスタードクリームにしました。今回はsuper gigantic roll を作成してみました)。卵黄は冷蔵庫に保管しますが、今回は卵白は室温でしばらく放置しておきます。
④卵白210グラム(5個分)をメタルボウルに入れ、クリームオブターターを3グラム加えて電動ホイッパーで低速攪拌します。
③3分位でsoft peakに到達しますので30グラムの砂糖を加えてfirm peakまで高速回転で持っていきます。ここでバニラオイル/アーモンドエクストラクトで香りを加えておきます。この辺でオーブンを170℃に予熱しておきます。
④残りの30グラムの砂糖を加えてstiff peakまで持っていきます(ボウルをひっくり返しても動かなければstiff peakに到達していると判断します)。常温から泡立てしたメレンゲの仕上がりは色調も食感もマシュマロののような感じで低温から泡立てしたメレンゲとは仕上がりの感じは異なりますが、小麦粉を抱き込むだけならこちらのほうがかなり扱いやすいです。最後に粉を抱きかかえる工程で終了する場合はこの方法で泡立てしています。

エンジェルフードケーキ02
The pictures show “cream of tartar” (left), beginning of electric mixture (center), and soft peak form (right).
Separate egg yolks from egg whites, and leave egg whites at room temperature for a while. Place 5(210gram) egg whites and 3gram cream of Tartar in a metal bowl. Electric-whisk the egg whites. In a few minutes, it comes to a soft peak form. Adding a half volume of the powdered superfine sugar, continue to whisk at high speed until a firm peak form.
エンジェルフードケーキ03
The pictures show flavors (vanilla oil/ almond extract) (left), firm peak form (left-center), stiff peak form (center-right) and sieving flour mixture (right).
Then, put a few drops of flavor( vanilla oil and almond extract) into the meringue, and continue whisking until it gets to a stiff peak form. I think it somewhat differs from the stiff peak of the beaten with chilled egg whites. Sieve the flour mixture in 2 batches over the meringue.

⑤②で調整した粉類を1/2量ずつメレンゲに篩い、スパチュラで抱き込みます。混ぜにくいですので基本に忠実に中央から辺縁にむけて丁寧に混合(center to margin fold)を行い粉類の痕跡がなくなるまで混ぜます。
⑥シフォンケーキ用のセンターチューブのある焼き型に注ぎます。注いだ後、竹串で底にたまった空気や大きな気泡を追い出しておきます。ケーキパンの側面についた生地はできる限りキッチンペーパーで拭き取ります。焼くと生地は焼き型の側面を這いあってきますのでそれを邪魔しないためです。
⑦170℃で35分オーブン焼きします。焼き始めて15分くらいで表面がgolden brownに到達しますので表面割れ防止もかねてこの時上からアルミフォイルでカバーします。

エンジェルフードケーキ04
Going by the down to up fold method, fold the flour into the meringue until no grainy. Pour the batter into the cake pan and remove air bubbles with a skewer. Wipe out the protruding part of the batter. Oven-bake at 170C for about 35 minutes. If the surface of the batter comes to dark early, cover the top with aluminum foil.

⑧さかさまにしてマグカップの上に置いて室温で冷やします。重力を利用して縮みを最小限に抑えます。
⑨パレットナイフで辺縁を切り離して筒と一緒にケーキを抜きます。底面と中央を切り離してケーキをひっくり返して外します。これで完成です。

エンジェルフードケーキ05
Cool the cake upside down with the center tube on a mug. Then, release the margin with a palette knife and pick up the center tube. Release the bottom and center fall. Flip down the mold and drop the cake.
エンジェルフードケーキ06
The angel food cake is done.

このまま置いておくと私が一人で始末することになりますのでクレームシャンティでフロスティングしてキーウィとラズベリーをのせました。さすがにラズベリーは渋いので今回は10%ゼラチンと30%上白糖でナパージュを作成し2回塗りしました。
断面も食感もまるで”天使の羽”のような感じに思えました。これを最初に考え出した人、天才だ。

エンジェルフードケーキ07
The cut surface of the angel food cake looks fluffy and super-white like an angel’s wing.

<クレームシャンティイを簡単に速攻で作成する方法>

クレームシャンティイを作成する際、氷水で冷やしながらとほとんどのauthorが指南していますが氷も結構必要ですし煩雑です。これを簡素化する方法を私は用いています。
①使用する耐熱ボウルの内面を軽く水に浸し、軽く水切りします。
②電動ホイッパーのパドルも軽く水に浸し耐熱ボウルに入れてこのまま冷凍庫に入れます。
③10分ほどして取り出すと表面は完全に氷結して曇っています。
④パドルをセットしてすぐにボウルに冷蔵庫にある生クリームを注ぎます。
⑤粉砕した上白糖(powdered superfine sugar)を分量入れて、即座に低速攪拌開始します。
⑥3分間でstiff peakのホイップクリームができます。
(注意)耐熱ボウルの曇りが消失するまでに素早く作業は完了してくださいね。

編集後記
Swiss Rollの生地の極みが、単にシフォンケーキの生地にすり替えただけのような形で収束することにはなかなか受け入れがたい所が残ります。もう一つの選択肢となりそうなタンパク濃度11%位の”これぞスポンジケーキ”という配合組成からまたいつか改良を加えてみたいと考えています。