インスリン製剤の使用法:外来初期導入をされる方へ

外来でのインスリン自己注射をマスターするためのガイダンスとして、①超速効型インスリンと持効型インスリンの違いについて、②施注部位とローテーションの必要性について、③使用する針(ペンニードル(R))について 、④皮下注射の方法について、⑤空打ちの必要性について、説明します。最下段に施注手技のパンフレット(サノフィー(株))と手技動画をアップしてあります。動画で頻回に確認して正確な手技を習得くださいませ。

①超速効型インスリンと持効型インスリンが必要な理由

膵臓から分泌されるインスリンの日内変動は、1日中少ない量で均等に持続的に分泌される基礎分泌と食事に伴う血糖上昇に反応して分泌される追加分泌で構成されています

基礎分泌を補うのが持効型インスリンで、追加分泌を補うのが超速効型インスリンです。

超速効型インスリンと持効型インスリン:2026の薬価ベースで市場でシェアの大きい薬剤3種をそれぞれ挙げれいます。

超速効型インスリンの特徴

作用発現時間は10~20分、最大作用時間は1~3時間と製剤によって若干の差があリます。作用持続時間は3~5時間。基本的に食直前に投与します。

持効型インスリンの特徴

作用発現時間は1~2時間、作用持続時間は約24時間(最大作用時間にピークはなし)
基本的に眠前または朝食前に投与します。

当院で主として使用するインスリン製剤

当院では、主として超速効型インスリンとしてインスリングルリジン(アピドラソロスター(サノフィ(株))、と持効型インスリンとしてインスリングラルギン(ランタスソロスター、またはランタスXRソロスター:サノフィ(株))を使用します。

処方されたインスリンの保管方法は下図の通りです。m-クレゾールなどの防腐剤は入っていますが、無期限に完全な無菌状態を保証するものではありません。4週で使い切る理由は、開封後は無菌性と成分の安定性が永久には保てないためです。防腐剤が入っていても、開封して繰り返し針を付け替えて使ううちに、汚染リスクと品質低下の可能性が少しずつ上がります。4週というのは残量ではなく、開封してからの品質保証期間です。

*他の中間型、または持効型インスリンからランタス(XR)に乗り換え可能です。
その際は、添付文書より

①1日1回投与の基礎インスリン製剤から本剤に変更する場合、通常初期用量は、前治療の中間型又は持効型インスリン製剤の1日投与量と同単位を目安として投与を開始する。

②1日2回投与の基礎インスリン製剤から本剤に変更する場合、通常初期用量は、前治療の中間型又は持効型インスリン製剤の1日投与量の80%を目安として投与を開始する。
という変換公式を用います。

②皮下注射の施注部位とローテーションについて

皮下注射の施注可能部位は、使用するペンニードルの長さ(標準4mm:4〜8mmの種類がある)に依存します。十分に皮下脂肪が厚い部分に施注をしてください(*筋注になってしまった場合、作用持続時間が短縮する可能性がありますので注意してください)。基本的には腹部の皮下脂肪の厚いところに注射します。⭐️おへその周り半径5cm以内は避けてくださいね。

できるだけ同じ箇所に施注しないように次の施注は、少し離れた箇所を毎回選んでください。
施注部位のローテーションは、下記を参考にしてください。」
●前回施注した場所から少なくとも2~3cm離れた場所に注射する
⚫️ある程度規則的に場所を移動させる(腹部:右回り、左回り、対角線など)

③使用する針について

当院ではペンニードル32Gテーパー(ニプロ(R))を使用します。標準は4mmのものを使用しますが高度肥満がある方は8mmの最大長のものを使用することはあります。


ペンニードルの取り扱いは下図のことに注意してください。使用済みの針はペットボトルなどに入れて蓋をして当院に提出ください。感染性医療廃棄物としてまとめて処分します。⭐️家庭ゴミとして出さないでくださいね。

④皮下注射の方法について

インスリン自己注射の導入は通常持効型インスリン(ランタスソロスター(R))を用いて開始します。当院では練習期間として1ヶ月、血糖管理に強く影響しない量で毎日1回施注いただき、動画や説明書、DVDなどで繰り返し施注手技の確認をしていただき手技の定着を促しております。⭐️DVDは必ず返却してくださいね(*DVDのコピーはOKですがYoutube等に勝手にあげないようにお願いいたします(サノフィー(株)の著作権))。

施注手技のエッセンス:サノフィー(株)のランタス/アピドラPVから施注のキモとなる部分を抜き出し手技がスムースに行えるように注釈をつけました。一連の手技は下段の動画URLより確認してください。

⑤空打ちについて

インスリン製剤の自己注射をする際、実際に腹部に施注する前に空うちを必ず行ってください。空打ちを行わないと、ペンニードルの内腔体積相当分のインスリンが皮下注されません。アピドラソロスター1単位は0.01mLで、1単位で血糖値を約 50mg/dL下げる作用があります。微量でも注入量が減ると予見される血糖降下作用が得られません。

使用法に関するパンフレットを掲載しておきます。わからなくなった際はご確認願います。

さらに動画でもご確認ください。

https://twitter.com/Arctangent42067/status/2014596500714885398

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